GPT-3.5が登場してから約2年、ChatGPTの能力は格段に進化して難関大学の数学入試も解けるほどになっています。では、数学教師として活躍することは可能なのでしょうか? 次のプロンプトで試してみます。
You
今からあなたには教師と生徒の二役を演じてもらいます。
生徒:数学が苦手な中学生
教師:数学教師
この設定でマイナス同士の掛け算がプラスになる理由を対話形式で説明してください。
教師: こんにちは!今日は「マイナス同士の掛け算がなぜプラスになるのか?」を一緒に考えてみよう。数学が苦手でも大丈夫だから、安心してね。
生徒: はい、お願いします。でも、マイナス同士を掛けるとプラスになるって、なんか不思議でよくわからないです。
教師: そうだね、確かに不思議に思えるかもしれない。でも、まずは掛け算ってどういう意味かを思い出してみよう。例えば、2×3はどういう意味だったか覚えてるかな?
生徒: えっと、2×3は「2を3回足す」ってことですよね?だから、2+2+2で6になります。
教師: そうだね、よく覚えてる!掛け算は「同じ数を何回足すか?」という意味だよ。でも、今回はちょっと難しい「マイナス」が出てくるから、その考え方を使って少し工夫しないといけないんだ。じゃあ、1×(−3)はどうなるかな?
生徒: うーん、1を−3回足すってこと?なんだかよくわからないです…。
教師: そうだね、マイナスの掛け算は少し直感的には難しいけど、考え方を変えてみよう。マイナスの数は「方向が逆になる」ってイメージを持つとわかりやすいんだ。たとえば、1×(−3)は「1を−3回足す」というより、「1を反対方向に3回進める」みたいな感じかな。
生徒: 反対方向?それってどういうことですか?
教師: 例えば、普通の数だと、1×3は「右に3歩進む」と考えられる。でも、1×(−3)だと、マイナスの3だから「左に3歩進む」ってことになるんだよ。じゃあ、次に−1×(−3)はどうなるかな?
生徒: −1を−3回進めるってことですか?でも、それってちょっと意味がわかりません…。
教師: うん、いい質問だね!では、こう考えてみよう。もし「−1を反対方向に3回進める」としたら、最初は左に1歩進んで、次に反対方向の右に1歩進む、また反対に1歩進んで、最終的にはプラスの方向に進むよね?つまり、−1を2回反対方向に進めると、結果的にはプラスになるってわけだ。
生徒: ああ、なるほど!反対方向に進むから、最終的にプラスになるんですね!
教師: その通り!マイナス同士を掛けることで、方向が2回反対になるからプラスになるんだよ。だから、マイナス×マイナスはプラスなんだ。どうかな、少しわかりやすくなったかな?
生徒: はい、なんとなくわかりました!少しずつですが、理解できた気がします。
教師: よかった!少しずつでも理解できるようになれば大丈夫だよ。これからも一緒に頑張ろうね!
具体的な例を出してはいますが−1×(−3)の説明は明らかにおかしい。
文章を読む限り、これは−1×(−3)ではなく−1×1+(−1)×(−2)ですね。結果的にプラスではあるけど納得いく説明にはなっていない。プロンプトを変えてみます。
You
今からあなたには教師と生徒の二役を演じてもらいます。
生徒:数学が苦手な中学生
教師:数学教師
この設定で-1×(-1)=1が成立する理由を段階的に説明してください。
教師: さて、生徒さん、今日は「-1×(-1) = 1」という式がどうして成り立つのかを一緒に考えてみましょう。まずは掛け算のルールについて少しおさらいをしてみましょう。掛け算をするというのは、ある数を何回繰り返すかを考えることですよね。
生徒: はい、わかります。例えば、2×3なら2を3回足すってことですよね。
教師: そうです、その通りです!では次に、掛け算で負の数が出てきたとき、どうなるのかを考えてみましょう。まず、1×(-1)がどうなるかを見てみましょう。この場合、1を-1回繰り返すことになります。直感的に「1をマイナス1回繰り返す」とはどういうことか、少し難しいかもしれませんが、これは「1回分を反対方向に動かす」ことだと考えるといいですよ。
生徒: 反対方向に動かすって、どういうことですか?
教師: 例えば、数直線を想像してみてください。1の位置からスタートして、反対方向に1の長さだけ動くと-1の位置に到達します。つまり、1×(-1)は-1になるんです。少し不思議かもしれませんが、掛け算で負の数を使うときは、反対方向に移動するというルールがあります。
生徒: なるほど、1×(-1)は-1ってことですね。
教師: その通り!では次に、-1×(-1)について考えてみましょう。ここで重要なのは「負の数を掛ける」ということです。もし-1を-1回繰り返すとどうなるでしょうか?
生徒: -1を-1回繰り返すって、ちょっとわかりにくいです…。
教師: そうですね。もう少し分かりやすく説明しましょう。まず、-1を1回繰り返すのは簡単で、-1×1 = -1です。次に、-1を「反対方向に1回繰り返す」ということを考えてみてください。反対方向に動くことは、-1の位置からさらに反対方向に動くことになりますよね。
生徒: ああ!そういうことか!反対方向に動くってことは、-1からさらに反対方向に進んで1の位置に戻るってことですね。
教師: その通り!なので、-1×(-1)は1になります。二重に反対方向に動くことで、元の正の方向に戻るんです。このようにして、-1×(-1) = 1が成り立つ理由がわかります。
生徒: わかりました!ちょっと難しかったけど、反対方向に動くという考え方で理解できました。
教師: 良かったです!少しずつでも理解できると、数学もどんどん面白くなってきますよ。
い
満点ではありませんが改善しました。ChatGPTにちゃんと答えさせるには、やはりプロンプトをより具体的にする必要があります。
だから「マイナス同士の掛け算」とするよりは、詳細に「-1×(-1)=1」という例を出した方が良い答えが返ってくる可能性があります。
あとは「段階的に」も入れた方がいいと思います。
今回は1人2役をさせましたが、はじめから教師役に絞って「あなたはプロの教師です。」と役割を与える(ロールプロンプティング)と、よりいい結果が出るかもしれませんね。